新築でもリノベーションでも、子どものいる家庭では「子ども部屋」の大きさや数について悩むことはないでしょうか。
6畳では狭いのか?8畳が適切なのか?
適切な広さは人によって異なります。3畳でも十分な場合もあれば、10畳でも狭いと感じる人もいます。他の部屋でも共通ですが、その部屋でどのように過ごしたいかで部屋の広さ、数の考え方は変わります。
家を計画する際は、あれもほしい、これもほしいとなりがちですが、家に多くの制約があります。一番の制約は面積です。面積は、土地の広さや、予算、購入したマンションなどで自ずと決まります。その限られた面積の中で、設計者は住む人の暮らし方、想いをヒアリングし、その条件のもと設計をします。
その中でも子ども部屋はじっくりとヒアリングしないと計画ができない部屋の一つです。機械的に「子どもの人数×6~8畳」と計画すると、面積にゆとりがない場合、その他の部屋にどうしても面積上のしわ寄せがいってしまいます。
ただ、最初に書いたように3畳でも十分な場合もあります。その場合は、他の部屋をゆとりをもって計画することができます。
では子ども部屋を計画する上でどのような事を考える必要があるでしょうか。
子ども独立後の部屋を考える
子ども部屋と夫婦の部屋の違いはなんでしょうか?建売住宅を購入する場合は、夫婦の部屋、子ども部屋などの明記はなく、同じ洋室と表記されます。
違いは、子ども部屋にはその役割を担う期間が限定的ということです。
子どもは将来独立して家から離れます。早いと高校卒業後、進学や就職等で一人暮らしを始めます。
独立後の子ども部屋はどのように使われるでしょうか?
子どもが帰省した時のことを考えそのまま維持することもあれば、物置き化してしまうこともあります。多くの場合、日常的にあまり使われることはありません。
ずっと一つの家に住み続ける場合は、子どもと一緒に暮らす期間よりも夫婦二人で暮らす期間のほうが長くなります。
その時は、最初から広く作りすぎない、独立後リノベーションをするなどの考え方があります。
暮らし方から広さを考える
子ども部屋に求められる広さは、求められる暮らし方によって変わります。
勉強はどこでするのか? 趣味はどこでするのか? TVはリビングだけでいいのか? 収納はどうするのか?
これらを一つ一つ整理しながら広さを決めていきます。子どもが小さい頃は、勉強や趣味などどうなるか分かりません。その時は、その将来分からない部分(広さ)を子ども部屋で確保するのか、共用部(書斎、リビングなど)で確保するのか考えます。
目安としては、寝るだけの部屋にした場合は3~4畳、ベッド+机+収納の場合は4.5~6畳、ゆとりをもたせると8畳となります。
上のパースは約4畳ほどの子ども部屋です。家具を既製品ではなく、造作とすることで必要な機能(衣類収納、勉強机など)コンパクトにまとめることができます。
寝るだけに限定した場合は、合わせて勉強や趣味をどこでするのか考える必要があります。勉強スペースとして共用の書斎をつくるのか、リビングの一角にワークスペースをつくるなど色々な方法が考えられます。
これはそれぞれの家族で考え方が違うため、正解はありません。
寝る部屋と勉強部屋を分けるということは、生活行為を明確に分けるということです。勉強を例にすると、書斎で勉強するということは、集中した環境をつくることにつながりますし、リビングで勉強するといことは、他の家族の気配を感じながら時には会話をしながら勉強するという環境が想像できます。片方ではなく両方あってもいいかもしれません。
家を計画するということは、どういう暮らしがしたいか、家族とどのような時間を過ごしたいかじっくりと考える機会でもあります。
子ども部屋に限らずですが、部屋の大きさを考える際は、最初から○○畳ほしいと考えるのではなく、どのような暮らしがしたいかまず考えてみてはどうでしょうか。