コラム

マンションリノベーションで出来ること・注意したいこと

新しい住まいカタチとしてもはや一般的となったマンションリノベーション。書店に行くとリノベーション関連の本を多くみかけ、住宅フリーペーパーでも特集が組まれたりしています。
マンションの場合は、戸建ての注文住宅とは異なり、最初から自分好み間取りや内装にすることは難しいです。そこで中古マンションを購入し、リノベーション(以下リノベ)するわけです。自分のライフスタイルに合わせた間取りを実現できるのが、リノベの最大のメリットです。
ここでは、具体的な例をもとにマンションリノベーションで出来ること・注意点について説明いたします。このポイントを知っておくだけで、出来ないと思っていたことが実は可能だったり、注意点を知っておくことで失敗するリスクを抑えることが出来ます。

マンションリノベーションで出来ること

・間取りや内装を自由に変更

マンションリノベーションは専有部内であれば内装だけでなく、間仕切りも自由に変更することができます。

マンションは共有部と専有部に分けられます。共用のエントランスや廊下は当然ですが、窓も共有部に含まれます。外部に面している部分や不特定多数が利用する部分は共有部です。

住戸内な専有部ですが、一部PS(パイプシャフト)と呼ばれる住戸内を上下階に貫通する配管スペース(図面の水色部分)は共有扱いになります。この位置は自由に動かせないので間取りを考える際は気をつけないといけません。

既存の専有部の間仕切りはマンションの構造上壊しても問題ありません。多くの場合、LGSと呼ばれる軽量鉄骨か木に石膏ボードを貼って間仕切りを作っています(図面の灰色部分)。
古いマンションの場合は、水回りの間仕切り下地にコンクリートブロックを使っていることもありますが構造上は壊しても問題ないです。ただし規約でNGとしている場合もありますので事前確認は必須です。

・水回り位置も変更できる

トイレ、浴室、キッチンなどの水回りの位置も変更することができます。
水回りの位置を変えるだけで間取りの自由度は格段に向上します。上の図面では浴室の位置を変更して家事動線を短くシンプルにしています。
ただし、水回り位置を変更するさいは後述する注意点をしっかりと押さえておく必要があります。

・断熱性を向上させて快適な住まいに

40年以上前のマンションにもなると断熱材がない場合があります。また10年ほど前のマンションであっても窓ガラスがペアガラスでなくシングルガラスのこともあります。

シングルガラスは熱く寒いだけでなく、結露しやすくカーテンをカビさせる原因にもなります。
マンションリノベーションでは断熱補強、インナーサッシ(内窓)工事により断熱性の低いマンションを快適に暮らせるように改修することができます。

マンションリノベーションで注意したい3点

①管理規約を読んで「できない事」を確認する~フローリングNGの場合も~

マンションリノベーションをする際に一番最初に確認する点は管理規約です。管理規約にはリフォーム・リノベーションに対する制限を設けている場合が多く、特に下記の点は確認が必要です。

②水回りの位置を変更する際は床の高さに注意

前述したように水回りの位置は変更することが可能ですが、1点考慮すべき点があります。
排水勾配を確保するために一部段差が生じる可能性があることです。

例えばキッチンの流しの水は、配管を通してPSへと流れていきます。その際、流しの水が詰まらずに流れるように勾配を確保する必要があり、流しからPSへの距離やルートによっては段差が大きくなることを考慮する必要があります。

段差ができるなんて知らなかった!!なんてことにならないように注意しましょう。

③中古マンションを購入する場合は修繕履歴を要確認

マンションリノベーションでもできないことがあります。
それは設備配管の更新と耐震補強です。設備配管は専有部はすべて変えることができますが、PS内のメイン配管は変えることができません。

古いマンションでは水道管が錆びて赤水も出ることがあるため一度必ず水を確認してみてください。

耐震補強や補修もきちんとしているか大事です。住んでみたものの地震がきて住めなくなっては泣くに泣けないです。

修繕記録を事前に管理組合が計画的に修繕しているか確認してください。

リノベーション具体例

事例1)土間のある暮らし

事例2)杉の香りを感じる

ABOUT ME
Haruka Chiba
一級建築士 仙台・宮城を中心に住宅の新築・リノベーションの設計をしています。 Blogにて設計以外の日々の暮らし、仙台についての情報発信をしています。